運動と“認知”の意外な関係──「脳から変えるセルフケア」のすすめ
──「もうストレッチは効かない気がする」そんな声が増えています。
肩こり、腰痛、違和感。
一時的に楽になるけど、また戻る。その繰り返しに、あなたも心当たりがあるかもしれません。
作業療法士として、これまで数千人のリハビリ・施術に携わってきた中で、ある共通点に気づきました。
それは、“動き”だけを変えても、人の体は根本的には変わらないということ。
なぜなら、不調の原因は「動き」ではなく「動かし方」にあるからです。
もっと言えば、その動かし方をコントロールしている“脳”が変わらなければ、体は元のクセに戻ってしまうのです。
最近では、ただ筋肉をほぐす・鍛えるというよりも、
**「意識的に動く」「感じて動く」**ことが、脳の神経回路に影響を与えると注目されています。
このブログでは、私が臨床経験の中で実感し、
そして改善に導くことができた実例をもとに、認知神経理論とセルフケアを組み合わせた「脳から整える方法」を紹介します。
もし今、あなたが「がんばっているのに変わらない」と感じているなら、
それは“あなたのせい”ではなく、“脳に合っていないやり方”だったのかもしれません。
体を変える鍵は、意外にも「脳」だった──
ぜひこの先を読み進めてみてください。
認知神経理論とは?──痛みと動きに対する“脳の反応”を読み解く
認知神経理論(Cognitive Motor Theory)は、リハビリテーション分野から発展した考え方で、
**「人間の動きや痛みは、脳の認知機能と深く関わっている」**という前提から成り立っています。
ここでいう“認知”とは、単なる知識のことではありません。
・注意を向ける
・動きをイメージする
・環境に合わせて調整する
こうした脳の情報処理すべてを含みます。
つまり、「何気ない動き」も、実は「脳の判断」によって微調整されているのです。
動きは“始める前”に決まっている(フィードフォワード理論)
ここで重要なのが、「動きを実行する前に、脳がすでに予測して指令を出している」という考え方です。
これを「フィードフォワード理論」という専門的な用語になりますが覚えなくて結構です。
たとえば、椅子から立ち上がるとき。
私たちは無意識に、お腹や背中の筋肉を事前に準備させてバランスを取っています。
これが“意識する動き”と“ただの動き”の違いです。
動作を繰り返すだけでは、脳は“慣れ”で処理し、修正しようとしません。
しかし、「自分がどう動いているか」「どう感じているか」を観察しながら行うと、脳の回路に新たな修正が入り、**“動きの質”**が変わってくるのです。
だからこそ、整体も運動も「脳が変わるかどうか」がカギになる
あなたが整体や運動で「良くなった!」と感じたとき、実際には「脳が新しいパターンを学習した」可能性があります。
逆に、「すぐ戻る」というのは、脳に“古いパターン”が残っている状態です。
私が提供する整体やセルフケアでは、筋肉や関節を整えるだけでなく、
「あなたの“脳”がどう動きを覚えていくか」にフォーカスしています。
たとえば、
- 片足立ちでの重心のズレを感じ取る
- 呼吸のリズムを意識しながら肩を回す
- 鏡を見ながら「今、どんなふうに動いているか」を観察する
- 座っているときにお尻にかかっている重心のズレを感じる
といった、一見地味なトレーニングの中に、“脳の再学習”を促すヒントがたくさんあります。
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認知神経的セルフケアは、「あなた自身が“動きの先生”になること」
肩こりも、腰痛も、膝の違和感も──
治療院やジムに通うことで一時的に良くなったとしても、
また繰り返してしまうのはなぜでしょうか?
それは、「自分の体のクセ」や「動き方の誤解」に気づかないまま過ごしているからかもしれません。
認知神経的セルフケアの素晴らしい点は、
あなた自身が「なぜ不調が起きていたのか?」という問いに、自分の言葉で答えられるようになること。
つまり、“自分の体の専門家”になっていくプロセスです。
- 「なぜ私はいつも同じところが凝るのか?」
- 「どうしてストレッチしてもスッキリしないのか?」
- 「この腰痛が再発しないためには、何をどう変えればいいのか?」
これらの問いに答えられるようになると、
日常の何気ない選択──「今日はこの椅子に座ろう」「このタイミングで立ち上がろう」「ここで深呼吸しよう」──すら、あなたの体を整えるセルフケアに変わっていきます。
再発しない体づくりは、難しいテクニックよりも“気づき”と“選択”の連続です。
「自分を知ること」が、根本改善の本当の第一歩。
誰かに“整えてもらう”のではなく、
“自分の体と対話しながら整えていける”ようになる──それが、認知神経的セルフケアの真の価値です。
まとめ:変えるべきは“脳の中の動きの地図”
私たちの体は、脳の中にある“地図”によって動かされています。
その地図が古くなったり、ずれてしまったりしていると、いくら筋肉をほぐしてもすぐ戻ってしまう。
だからこそ、
- 意識する動き
- 観察する目
- 気づく習慣
この3つが、あなたの脳をアップデートしてくれます。
「整体も、運動も、もう効かない…」と思っている人にこそ、
“脳の変化”という視点を、ぜひ体感してみてください。
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