痛みの正体に迫ろう
「検査では異常なし。でも、痛みは確かにある──」
こんな経験はありませんか?
腰痛、肩こり、頭痛…。どれも生活に支障をきたす厄介な症状ですが、画像診断では何も見つからないこともしばしば。
ではこの痛み、一体どこから来ているのでしょうか?
その答えのヒントが、「ペインマトリックス(Pain Matrix)」という言葉にあります。これは、痛みが単なる“体の反応”ではなく、“脳”でどのように処理され、感じられているかを示す概念です。
ペインマトリックスとは?
ペインマトリックスとは、脳の中で「痛み」を感じ取る仕組みのことを指します。
実際に傷ついた部位だけでなく、以下のような複数の脳領域が連携して“痛み”を構築しているのです。
- 体性感覚野(S1):どこが痛いかを認識
- 前帯状皮質(ACC):痛みに対する感情(つらい、嫌だ)を処理
- 島皮質(Insula):体の内側の状態を感じる
- 前頭前野(PFC):痛みに対する注意や意味づけを行う
つまり、痛みとはただの“刺激”ではなく、「感情・記憶・注意・意味づけ」を含んだ脳が作り出す主観的な体験なのです。
つまり、痛みとはただの“刺激”ではなく、「感情・記憶・注意・意味づけ」を含んだ脳が作り出す主観的な体験なのです。
ということは——
その“体験”を変えることが、痛みを和らげる第一歩になるということ。
たとえば、あなたが今日、お風呂に浸かるとき。
香りが心を緩め、温度が筋肉のこわばりをほどき、湯の浮力が重力から体を解放する。
その瞬間、「今日もよくがんばったね」と、自分の体にやさしく声をかけてあげるだけでも、脳は“安心”を感じ取り、痛みの閾値(感じやすさ)を自然と下げてくれるのです。
入浴は単なるリラックスタイムではなく、「痛みの記憶」を塗り替える感覚体験。
そんな時間をより深く、豊かにしてくれるのが、天然由来の入浴剤やアロマバスソルト。
▶︎ 【心と体を包み込む、天然素材のご褒美バスアイテムはこちら】
毎日のお風呂がスリミングタイム+【ミネラルバスパウダー】
痛みを感じた日は、まず「感じ方」を変える時間を自分に与えること。
それが、認知神経アプローチ的セルフケアの第一歩です。
痛み=損傷ではない時代
かつて「痛みは体のどこかが壊れているサイン」と捉えられていました。
例えば、「腰が痛い=腰の骨や椎間板に問題がある」と直結して考えられていたのです。
しかし現代の神経科学では、この見方はすでに古い常識となりつつあります。
◆ なぜ「損傷=痛み」ではないのか?
最新の研究では、構造的な異常があっても痛みがない人、または何の異常も見られないのに痛みを訴える人が数多く報告されています。
例1:無症状の異常
MRI画像では椎間板の変性やヘルニアが見つかっても、本人はまったく痛みを感じていないというケースが多々あります。
実際、40歳以上の健常者の約6〜8割に椎間板変性が見られるという研究もあり、「見た目の異常=痛みの原因」とは言い切れないことがわかります。
例2:症状はあるのに異常がない
逆に、慢性的な腰痛や肩こりを訴えていても、レントゲンやMRIでは**「異常なし」と診断されるケースも非常に多いです。
このようなとき、痛みの本当の原因は構造的な損傷ではなく、脳が痛みを“誤作動”させている可能性**があります。
◆ 痛みは“脳がつくる体験”である
ペインマトリックスの視点から見ると、痛みは単なる物理的刺激ではなく、以下のような複数の要素が影響し合って“脳”で構築される主観的な体験です。
- 過去の記憶やトラウマ
- 不安やストレスなどの心理的背景
- 身体への注意の向け方(気にしすぎ or 無関心)
- 社会的状況(仕事・家庭・対人関係など)
- 睡眠の質や疲労、気温、天気などの環境因子
つまり、痛みは身体的な要因だけでなく、感情・認知・環境までもが大きく関わっているということ。
「構造」ではなく「機能」と「脳の学習」がカギ
「痛み=損傷」という時代から、「痛み=脳と心の反応」という新しい理解へと、私たちは今、大きくシフトしています。
痛みをなくすためには、単に壊れた場所を治すだけでは不十分です。
どのように体を使い、どんなふうにその痛みを脳が捉えているのか──これに気づき、書き換えていくことが、真の改善への第一歩となります。
慢性痛におけるペインマトリックスの変化
慢性的な痛みが続くと、ペインマトリックスの神経回路は“敏感化”してしまいます。
つまり、わずかな刺激にも「痛い」と感じやすくなり、過去の痛みの記憶や不安がさらにその感覚を強化してしまうのです。
これは、脳が「痛みの癖」を覚えてしまっている状態とも言えます。
セルフケアのカギは「脳」にある
ここで重要なのが、ただストレッチや筋トレをするだけではなく、「意識して動く」「自分の状態に気づく」という認知のプロセスを取り入れること。
たとえば、認知神経理論では「フィードフォワード(先読み)」という考え方が使われます。
これは、「この動作で痛みが出そうだ」と無意識に予測して体が緊張してしまう状態を意味します。
この予測を変えるためには、「この動きは大丈夫」と体験的に学び直す必要があります。
そのためには、**“意識して安全な動きを体に教え込む”**ようなセルフケアが効果的です。
まとめ:痛みは「あなたの脳」が感じている
- 痛みは脳の中のネットワーク(ペインマトリックス)が作り出している
- 損傷の有無と痛みの強さは一致しない
- 慢性化することで脳の痛み回路が敏感になってしまう
- セルフケアには「動き」と「意識」の両方が必要
あなたの痛みは、あなたの脳が作り出した“メッセージ”かもしれません。
だからこそ、ただのマッサージや運動だけではなく、自分の体と脳に優しく寄り添い、痛みに意味を与え直す時間が大切なのです。
📎併せて読みたい記事
👉【肩の痛み解消!】原因から自分でできる改善方法、専門家への相談まで徹底解説
👉【作業療法士が明かす】- なぜストレッチだけでは不調が改善しないのか?
👉全ての悩みから解放される「セルフワード・ワーク」
👉腰がツラいのは“姿勢の癖”が原因?反り腰と猫背、あなたはどっちタイプ?
👉TOP1%のパパとママしか知らない「MOVE子育て論」

コメント